クスコ大聖堂とも呼ばれるカテドラルはアルマス広場に面した場所に建てられています。元々ここには「キスワルカンチャ」と呼ばれるインカの神殿があり、クスコ王国の皇帝ビラコチャが住んでいた場所でもありました。スペインの征服者がクスコを占領した後、インカの都市サクサイワマンから石を運び出し、それを使って神殿の上にカトリック教会を建設することを決めました。これはインカで信仰されていた宗教を排除する目的があり、カテドラル建設には多くのインカ人が労働力として使われました。教会の建設は1559年から始まり、およそ100年後の1654年に完成しています。カテドラルの横に併設されるトリオンフォ教会はクスコ最古の教会で、1536年に建設されています。
クスコ大聖堂は、当時のスペインで流行っていたゴシック・ルネッサンス様式の建築で、アルマス広場に面したファサードはバロック様式の影響も見られます。さらに労働力として使われたインカ人の影響からか、扉の一部にはジャガーの頭があるなど、インカの宗教シンボルを見ることも出来ます。
この教会の素晴らしいのは建築だけではありません。植民地時代の美術品や工芸品、豪華な装飾が施された礼拝堂に注目です。特に植民地時代の美術品は豊富で、特にエスクエラ・クスケーニャと呼ばれる17世紀のヨーロッパにおける祈りの絵のスタイルと、アンデス先住民たちが独自のカラーと図解を融合させた作品が有名です。最も知られているのは、マルコス・サパタが描いた「最後の晩餐」です。キリスト教の最も厳粛なシーンに、アンデスの儀式で使われるご馳走のインカコーンの飲み物とモルモットの食事が描かれています。
さらに塔には高さ2.15m、重さ5980kgの南米最大と言われる鐘があります。現在はヒビが入っているため特別な機会にしか鳴らされることはありませんが、その鐘の音は30km先からも聞こえると言われています。さらに、「黒いキリスト像」と呼ばれる長年のろうそくのすすで黒くなってしまったキリスト像と十字架も有名です。
(写真:トリップアドバイザー提供)
植民地時代のアートで最も有名な「最後の晩餐」です。キリスト教の最も厳粛なシーンに、アンデスの儀式で使われるご馳走のインカコーンの飲み物とモルモットの食事が描かれています。
キリスト教の祈りのシーンを、アンデス先住民アーティストが独自の色合いと自分たちの文化を合わせて描いた、エスクエラ・クスケーニャの例です。
(写真:トリップアドバイザー提供)
長年のろうそくのすすで黒くなってしまった、木製の十字架とキリスト像です。毎年聖週間のパレードに出されるこのキリスト像は、信者から現地でニュクチュと呼ばれる花を投げられます。この花には粘着質があり、十字架に磔にされたイエス・キリストの血の滴りと傷を表します。この粘着質が、ろうそくのすすをまとわりつかせていると言われています。
(写真:トリップアドバイザー提供)
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